川柳名句に学ぶ 「13」
           平成27年5月

 ☆  我が師 金井 有為郎 (かない・ういろう) の川柳

   ○ 明治45年5月(現在 中野市)生まれ
     昭和50年11月 69才で永眠
   ○ 川柳「矢車」創設者 中島紫痴郎→門下生
     川柳「湯の村」「奥しなの」を主宰
   ○  『川柳とは作者の心情をとおして抒情的にうたいあげるもの。』
      『川柳もあえて詩と名づけて、自分の道を進んで来た。』
   ○ 句集「現代川柳詩・有為郎句集」
     金井有為郎遺文集 「詩と死」

 ☆  二十歳代「湯の村」前期の句
      昇給のあてとなき石油コンロです
      靴の紐切れんとしつつ日かさね
    三十歳代「湯の村」後期の句
      火の鍋の下で堪えているように
      一枚の白紙よごれる日を待てり

 ☆  「奥しなの」の作品
      安らかな寝息がある鍋伏せてある

      神様の手のひらにあるやすらかさ

      明日は遠のく想いに 水は流れゆく

      足音はひとり冬野を割っていく

      最果ての坂をころがす石ひとつ

 ☆  南志賀高原に建立の句碑
      こんな満足で石垣の苔の花

 ☆  辞世の句
      いのち今足音たてて遠ざかる