川柳名句に学ぶ 「60」
 令和元年8月




☆  『 水暦 』の句集を出した、新潟県の十日町市にお住まいの

   松田ていこさんの作品を見て行きます。

   この句集は全日本川柳協会の文学賞準賞を受賞した句集です。


☆  松田ていこさんは、1945年生まれで十日町市にある十日町

   川柳研究社の主幹をされています。

   十日町新聞の柳壇の選者をされています。

☆  ていこさんは、「私の作品は多くが愛と抒情で成り立っており

   ます」また「たましいの奥へ奥へ」と鈴を振りながら一つまた

   一つと、内なる炎を解き放つようにいのちの扉をひらいてゆく

   のでした



☆  ていこの作品

       子守唄きこえる花のあたりから

       哀しみの窓に添いくる花明り

       さくらさくらいつか影絵になるさくら

       水かがみ亡母と相似の炎を揺らす

       下駄箱の奥で静かに亡母の下駄

       森深くしずかな亡父の樹に出会う

       たましいの奥へ奥へと鈴をふる

       しんしんと胸のくぼみに積もる雪

       雪分けてわけて一つの炎をはこぶ