過去の診療日記から、偏頭痛を抜粋しました

2004年3月30日(火)
いちご、偏頭痛
     今日も診療所の待合室にわがままおやじの姿がありました。
     何やらいつもと様子が違います。おやじと、いちごちゃんが真面目な顔をして話しています。

おやじ 「いちごちゃん、どうしたの?顔色悪いよ」
いちご 「頭が痛くて、気持ち悪いの」
おやじ 「昨日、飲みすぎたんだろう?いちごちゃん酒癖悪いからなぁ」
いちご 「違うってば、昨日は飲んでませんよ、酒癖わるいのは、おじさんでしょう」
おやじ 「何言ってんの、おら、青山だで、酒は飲まねえ、ビールだ」
いちご 「ビールもお酒でしょう!頭痛いんだから、あまり変なこと言わないでください」
おやじ 「ごめん、ごめん、あんまり怒るなよ、シワ増えるよ、い・ち・ご・ちゃん」
いちご 「モォ、ほんとに、頭痛いんだから」
おやじ 「診察前に先生に診てもらいなよ。先生」

先生  「どうしましたか?」
おやじ 「先生、いちごちゃん、頭がアホだって」
いちご 「モゥ、向こうに行っててください」
先生  「頭がアホだって?それは、僕にも治せないよ」
いちご 「ンモゥ、先生まで、何言うんですか。私は頭が痛いんです」

先生  「どんな痛みですか?例えば、ズキンズキン脈打つみたいだとか?」
いちご 「そう、そうなんですよ。右側の頭が脈打つように痛いんです。ズキンズキンと」
先生  「いつからですか?何か他に気がついたことありますか?」
いちご 「そういえば、何か目の前がチカチカしました」
先生  「たぶん、いちごちゃんの頭痛は偏頭痛かもしれませんね」
いちご 「偏頭痛?ですか?」
先生  「まだ、ハッキリはいえませんが痛みが片側で、脈打つようにズキンズキンと痛く、閃輝暗点(せんきあんてん)が生じていますよね」

いちご 「閃輝暗点(せんきあんてん)?」
おやじ 「赤飯炊いてんの?」
いちご 「閃輝暗点(せんきあんてん)。これはどんな事ですか先生?」
先生  「じゃあ、今回は、日本人の約8〜10%が悩まされているといわれている偏頭痛について、お話します」

2004年3月31日(水)
いちご 偏頭痛PartU
     
     診察前の診察室1番でいちごが頭痛の診察を受けています。

いちご 「頭痛の前に眼の前がキラキラしてなんか視野が狭くなったのを閃輝暗点(せんきあんてん)と言うんですね」
おやじ 「その、千点満点?って、なんだい?」
いちご 「閃輝暗点(せんきあんてん)。おじさん、黙っててよ」
おやじ 「おら、いちごちゃんのこと、心配してんだよ」
いちご 「ありがと。じゃ、おじさんも、いい子だからおとなしく黙ってて。お願いします」
おやじ 「誉められちゃった。おら青中卒業でよかった」・・・単純な、わがままおやじ、であった。

先生  「閃輝暗点(せんきあんてん)とは、はじめは視野の中にチカチカ光る小さな点が現れ、次第に大きくなっていきます。場合によっては視野の片側がまったく見えなくなったり、中心部がぼやけて見えにくくなったりすることもあります」

先生  「時には、手足のしびれや脱力感、言語障害がみられる場合もあります。このような前兆は数分、長くても1時間以内で治ることが多いです。そのあとに続いて頭痛がはじまります」

おやじ 「おらも、時々他の人におやじ何言ってるのかわかんないって、言われるときあるんだけど、これってなんだい?」
いちご 「それは、おじさん、単なる、なまって いるだけでしょう」
おやじ 「何言ってんのぉ、おら、青山だでぇ。方言なんか、ないしない」・・・(ないしない・するしない)この地方独特の表現でこの場合は{方言なんかないでしょう}と訳します、(するしない)はすることをしましょう、と言う意味です。

先生  「偏頭痛は、男性よりも女性に多くみられます。たいていの場合、10〜20歳代ではじめてあらわれその後よく言う(頭痛持ち)に移行します」
おやじ 「いちごちゃんは女だけど、10〜20代じゃないよな?」
いちご 「うるさい!私は28です」
先生  「ちょっと、無理があると思うけど・・・」
いちご 「いいから、先生、原因と要因にいきましょう」

先生  「何かのの原因で脳の内部や周辺の血管が収縮し、その反動で拡がり過ぎたとき、拡がった血管が直接、近くの感覚神経を刺激するとともに、血管の周囲に炎症が広がり、痛みが起こると考えられています。なぜ血管が収縮したり拡張したりするのか、まだはっきりとわかっていませんが、血液中の血小板から分泌されるセロトニンという神経伝達物質や、脳の血管の周囲に存在する三叉神経が関与してると思われます」

いちご 「何らかの原因ってどんな事ですか?」
      
      次回はその原因について考えられることをお話しましょう。

2004年4月1日(木)
いちご 偏頭痛 PartV
     
     前回まで偏頭痛の前兆や痛みがなぜ起こるか現在解っていることについて説明しました
     相変わらず理解してるのかどうか良くわからないわがままおやじであった。

おやじ 「偏頭痛ってただの頭痛と違うんだ。ふーん、納得、納得」
いちご 「おじさん、ほんとに、分かってるの?」
おやじ 「だからぁ、いちごちゃんの頭痛いのは、変体頭痛ってことだろ」
いちご 「また、間違えてる。偏頭痛」
おやじ 「エエェ、先生、変体頭痛って、せってたでぇ」・・・(せってた)=「おっしゃてた・言われた」と言う意味。
先生  「おやじさん、へんずつう、ですよ。変体頭痛じゃないですよ」
いちご 「そらぁ、違うじゃない、おじさん」
おやじ 「おら、青中だでぇ」・・・意味不明な返事をする、わがままおやじ。

先生  「まっ、いいじゃないですか。偏頭痛をおこす要因について考えられることを説明しましょう」
先生  「まず、この時期(春先)気候の変化で頭痛が誘発されやすいです。低気圧が近づくと頭痛が起こりやすいことが知られています。また、寒さによって頭痛が誘発される場合があります」
おやじ 「だから、先生の診療所は、雨の前日や、雪の降る日の午前中、混んでるんだ?」
いちご 「私が、お天気に左右されるみたいじゃない」

先生  「過労や睡眠不足、精神的ストレス、ハードな仕事を無理してやり終えたとき、大きな悩みから解放されたときなど、緊張がとれて、ほっとしたとたん、抑えていたストレスが一気に噴き出して頭痛がはじまるのが多いようです。これは、ストレスのかかっている最中には緊張によって収縮していた血管が、リラックスすることによって拡がるためと考えられます」

先生  「平日はなんでもないのに、せっかくの休日、朝から片頭痛に悩まされるという人は少なくありません。このようなケースは(週末頭痛)ともよばれています」
おやじ 「これは、いちごちゃんには、関係なさそうだな」
いちご 「おじさんみたいな人が多いから、ストレスなの」
おやじ 「おら、青山だ」

先生  「女性ホルモンの分泌バランスの変化、特に生理のはじまる1〜2日前や、生理中によく起こります」
先生  「家族や親族の中にも同じような頭痛持ちの人がいることが多く、その点から遺伝的体質との関係も考えられます。特に母親が片頭痛の場合、娘が片頭痛になる確率が高いことが知られています」
先生  「アルコールやチョコレートや特定の食べ物、あるいは食品の防腐剤として使われている亜硝酸塩、グルタミン酸などの添加物によっても片頭痛が誘発されるといわれていますが、これらの食物が直接影響しているかは疑問です。食べた時の状況に関係がある場合も考えられます」

おやじ 「いちごちゃん、のんべえだからな。飲みすぎじゃないの?」
いちご 「もうっ、黙ってて」

先生  「寝すぎ、寝不足も片頭痛の誘因となります。空腹であったり、朝食を食べないで仕事や学校へ行くと、頭痛が起こることがあります」
いちご 「寝すぎかなぁ?」・・・いちごはよく寝るらしい
おやじ 「これだよ、いちごちゃん。仕事中もよく寝てるもんね」
いちご 「うるさい!」・・・痛いところを、つかれてしっまた、いちごであった。
     
       次回治療法についてお話します

2004年4月2日(金)
いちご 偏頭痛 PartW
     
     前回まで偏頭痛の原因や要因について説明してきました。いちごちゃんと、わがままおやじはここまでの説明を理解しているのでしょうか

おやじ 「いちごちゃんの頭痛の原因は、寝すぎと飲みすぎだな」
いちご 「何言ってるの、寝すぎで飲みすぎなのは、おじさんでしょう。わたし最近飲んでないわよ」
おやじ 「じゃあ、寝すぎと、チョコレートの食べ過ぎかな?最近太らない」
いちご 「ほんとに、おじさんって、デリカシーってものないの、嫌われるよ」
おやじ 「おら、ケント・デリカットだねえぞ。おら、青山だ」
いちご 「何言ってんですか、デリカシー!」

先生  「もう、ダジャレのやりとりは、終わりにしましょう」
おやじ 「先生、おら、まじめだでぇ。なんたって、青中卒だかんな」・・・とくいげな、わがままおやじであった。
先生  「偏頭痛の治療についてお話しますよ、いいですか?」
おやじ・いちご「お願いします」

先生  「まず、偏頭痛は一生つきあっていかなければならない慢性の病気ですが、生活習慣に気をつけたり、適切な薬を使うことによって、症状を充分にコントロールすることができます」

先生  「治療で大切なことは、まず、頭痛の引き金になる誘因を避けることです。日ごろからストレスをためないようにすること、また、経口避妊薬やホルモン剤を避けること、頭痛を誘発する食物を避けること、などがあげられます」

先生  「運動の習慣を身につけ、毎日又は1日おきに汗をかき、忙しいからといって食事を抜いたりせず規則正しく食事をし、ストレスをためないようリラックスする方法を見つけ、前述の頭痛の原因となるものを避けることが大切です」
おやじ 「いちごちゃん、運動不足なんだよ」
いちご 「私は、忙しいの」
先生  「頭痛があるときに一眠りすると、痛みが和らぐ場合があるので、睡眠も片頭痛の治療法の一つとして重要です」

先生  「あとは、薬ですね。片頭痛は頭の血管が拡張することによって起こるので、治療薬としては、血管の拡張を抑制する血管拡張予防薬を使用します。 この薬を、できれば頭痛が始まる直前に服用すると、頭痛がかなり軽くなります。ただし、予防のつもりであまり服用しすぎると、今度は頭の血管が収縮しやすくなってしまい、それによって片頭痛の前ぶれ(予兆や前兆を含む)が起こり、結局は片頭痛を誘発することになりかねないので、注意して使用しなければなりません」

先生  「さらに、当院ではプラセンタ療法がかなり効果的な結果がでています。どんな薬や注射でも効果なかった患者様にプラセンタ療法を行ったところ2〜3回目には、最近あまり頭痛が気にならなくなり、頭痛薬をあまり飲まなくてもよくなった。と喜ばれる患者様も、たくさんおられますよ」

いちご 「そういえば、私最近プラセンタ注射してない。かれこれ一ヶ月以上してない」
おやじ 「いちごちゃんも、プラセンタ注射してるんだ」
いちご 「そう、この前まで調子が良かったのは、プラセンタが効いていたんだ」
先生  「そうかもしれませんね。今日は薬は飲まずにプラセンタ注射してみますか」
いちご 「はい、お願いします」

   それから、数時間後にはいつもの明るい笑顔のいちごちゃんに戻ったのは言うまでもありません。

偏頭痛

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