過去の診療日記から爪の病気を抜粋しました

陥入爪

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2004年4月24日(土)
爪がくいこんで、イタイイタイ、陥入爪

     だいぶ暖かくなってきましたが、今日の飯山地区も山際では季節はずれの雪が降りました。
     まだまだ、気候が安定せず風邪をひきやすいので注意しましょう。

今日は、わがままおやじ、のゴルフの弟子(おやじがそう思っているだけ?)のA君を連れて診療所に来ています。
いちご 「A君、診察室1番へお入りください」
おやじ 「おら、の弟子が、足の爪がくいこんじゃって、痛いってんだよ」
    
     A君の足をみて

いちご 「痛そうですね、少し足を洗いましょうか、こちらえどうぞ」
     消毒液の入ったぬるま湯で足を綺麗に洗って診察室に戻ってきました

先生  「Aさんいつごろから、痛くなりましたか?」
A君  「10日くらい前から、何か当たると、飛び上がるほど痛いんで、何かなって見てみたら爪がくいこんでいたんですよ」
先生  「今回初めてですか?」
A君  「時々、痛くなると、自分で爪の角切ってたんですよ、すると、しばらく痛くないんです」
おやじ 「これって、巻き爪かい?」

先生  「ちょっと違うんですよ、A君の場合は、陥入爪って言うんです」
おやじ 「かりんとう?」
いちご 「かんにゅうそう、いつもとぼけてるんだから」
おやじ 「うるへぇ、おら、青山だ」
先生  「久しぶりに、その言葉聴いたね」

A君  「あのぉ、僕はどうすればいいんでしょう?」
先生  「申し訳ない、とりあえず、痛みをとる処置をしますね、いちごちゃん、モスキートと、はさみ用意して」
おやじ 「モンチッチ?」

いちご 「おじさん、少しむこうに行っててください、技師さん、お願いします」
技師  「なにカッショ?」
いちご 「おじさんを、よろしくカッショ」
技師  「なんで、いつも私カッショ、全くカッショ、おじさん、こっちに来るカッショ」
おやじ 「はいカッショ」
技師  「モウ、みんな真似するのやめてカッショ」

先生  「A君、これで、ゆっくり治療できますね、少し爪が食い込んでる、ところを切除しますね、これはあくまでも根治的な治療ではないですが、まず痛みと炎症をとる治療をしないとね」
いちご 「じゃあ、すこし我慢してください」
     
     先生は食い込んでいる、爪の角を、切除しました

先生  「はい、終わりましたよ、痛かったでしょう、今どうですか?」
A君  「あれッ、痛くない、どうなってるんですか?」
先生  「陥入爪について、今回はお話しましょう」

2004年4月26日(月)
陥入爪 PartU

     わがままおやじと、A君は爪が食い込んで痛くなる陥入爪について先生の話を聞いています。

おやじ 「先生、その陥入爪って、何が原因なんだい?」
A君  「僕何も悪いことしてないんですけど」
先生  「陥入爪の原因は、生れつきの形態異常の場合もありますが、多くは、外傷や環境など後天的なものです、長時間の歩行や窮屈な靴や先の尖った靴などを履いて足の指が横から圧迫されることで生じます。又日本人は爪を深く切ることが習慣になっていることが多く、そのことがさらに症状を悪化させます」

A君  「僕、ゆるゆるの靴はいてるんですけど」
先生  「靴の中で足が踊るようなのは、だめですよ。だんだん足が前に行って結局は絞められちゃうことになりますからね」
A君  「ゆるいのもダメなんですね」
先生  「やはり靴は自分に合ったサイズの物を選んで、履いたほうがいいと思います。靴を履かなかった時代にはこんな病気は無かったんですから」

おやじ 「おら、子供の頃、爪は短く切れってよく怒られたもんだでな」
先生  「たいていの患者さんは、痛い部分の爪を深く切って、痛みを和らげようと試みます。この行為が症状を悪化させます。深爪すること自体が、皮膚に傷をつけます、爪を切った外側に、爪の一部がトゲ状に埋没されて残る場合が多く、それが刺激の原因になります」
A君  「そうなんですよ、なかなか上手く切れないんですよ、触ると痛いしね」
先生  「まず、家庭でできる予防法は、つま先に余裕のある靴を心掛けること、爪切りは、深爪を避け、長すぎるくらいを心掛けます。清潔の維持、器械的な保護も効果的です」

A君  「僕みたいにジクジクして、化膿してしまったらどうするんですか?」
先生  「爪の角が肉に当って痛いときには、爪の角の部分に小さなガーゼをつめる処置を行います。この処置を行いながら、きつい靴を履かないように注意して清潔にしているとたいていの場合は痛みが軽減し爪を伸ばすことが可能になります」
A君  「僕みたいに、何回も繰り返しているのは、どうすればいいですか」

先生  「1年のうち5回も6回も繰り返しひどい炎症を起こすようなら手術をお勧めします、少し爪の幅が狭くなりますが、長い目で見ればそのほうがいいかもしれませんね」
A君  「手術って大変なんでしょう?」

先生  「いやいや、通院で出来るし、手術時間も20〜30分ほどでおわります、もちろん保険もききますよ」
A君  「なら、思い切って手術受けちゃおうかな、こんなに、しょっちゅう繰り替えし痛いんじゃあ」
先生  「そうですね、今の炎症が治まったら、予定しましょうかね」
A君  「はい、お願いいたします」
先生  「それまで、消毒の仕方を、お教えしますから、頑張って清潔にしてくださいね」
A君  「はい、頑張ってみます」

A君とわがままおやじは、消毒セットをいちごちゃんより手渡され帰っていきました、その約3週間後手術は問題なく行われました