○岳北消防本部火災原因及び損害調査規程

昭和60年5月1日

訓令第1号

目次

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 調査の実施(第3条~第9条)

第3章 現場保存(第10条~第12条)

第4章 原因調査(第13条~第24条)

第5章 調査資料の処理(第25条~第27条)

第6章 損害調査(第28条~第30条)

第7章 書類の作成及び報告(第31条~第34条)

第8章 補則(第35条~第38条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法〔昭和23年7月24日法律第186号。(以下「法」という。)〕第7章の規定に基づき、火災の原因及び損害の調査(以下「調査」という。)を行うについて、必要な事項を定める。

(調査の限界)

第2条 調査は、法に定める事項に限り行うものであり、犯罪の捜査に関与し、又は関係法令の規定に抵触しないよう注意しなければならない。

第2章 調査の実施

(調査の主体)

第3条 消防署長(以下「署長」という。)は、管轄区域内に火災を覚知したときは、直ちに担当係長(以下「係長」という。)に、調査員の確保及び調査事務全般の統率を命じ、係長は調査指揮者として、調査の統轄に当たるものとする。

(調査員の指名)

第4条 係長は、調査を別表により実施するため、所属の消防職員の中から調査員を指名し、任務分担を割り振らなければならない。

2 前項により、指名された調査員は、上司の指示に基づいて調査に着手し、最初から最終決定を得るまで調査を継続して行わなければならない。

(調査の協力)

第5条 署長は、調査上特に必要がある場合は、調査員として指名されているもの以外の消防職員を派遣して調査に協力させるものとする。

(調査本部の設置)

第6条 署長は、特殊又は異例の火災で、必要があると認めたときは、調査本部を設置するものとする。

2 調査本部を設置したときは、署長がその調査を指揮監督するものとする。

(調査権限の行使)

第7条 調査の権限は、公正かつ誠実に行使し、いやしくも個人の自由及び権利を不当に侵害することのないよう注意しなければならない。

(調査員の心構え)

第8条 調査員は、常に関係法令及び調査事務の研究を怠らず、社会の動向に留意し管轄区域内の諸状勢の把握に努め、調査能力の向上を図らなければならない。

2 調査員は、言語・態度に留意し、関係者に不快の念を与えないよう注意しなければならない。

3 調査員は、調査員及び他の消防職員と相互の連絡協調をはかり、調査能率を向上させると共に、調査の正確を期するよう努めなければならない。

4 調査員は、関係ある司法警察職員と緊密な連絡を保ち、相互に協力して調査を行うようにしなければならない。

5 調査員は、火災現場その他の場所において、調査上必要と認めることを見聞したときは、これを記録しておかなければならない。

(立入検査)

第9条 調査員は、調査のため火災現場及びその他関係ある場所に定められた腕章を着用し立ち入り、その状況を検査しなければならない。

2 調査は、必要に応じて関係のある者の立ち合いを求めて実施し、信ぴよう力の確保に努めなければならない。

3 調査員は、必要に応じては、上司の許可を得て定められた以外の服装で調査することができる。

第3章 現場保存

(消火活動中の注意)

第10条 現場指揮者及び消防隊員は、発火点と推定される場所及びその付近の消火活動に当たつては、できる限り原状の保存に注意し、調査の判定を容易にするよう努めなければならない。

2 現場指揮者は、残火鎮滅のため、出火点と認められる場所及びその付近の物件を移動し、破壊し、又は原状を変更する場合は、事後の調査に支障をきたさないよう処置しなければならない。

(死傷者の取扱い)

第11条 現場指揮者又は調査員は、火災現場において焼死者その他変死者があるとき、又はあると認められたときは、すみやかに署長に報告し、写真・見取図・その他の方法により、現場保存に努めなければならない。

2 署長は、前項の報告を受けたときは、すみやかにこれを消防長及び所轄警察署長に報告又は通報しなければならない。

(現場監視)

第12条 署長は、調査上必要あるときは、監視員を配置し、現場保存に当たらせるものとする。

2 前項の監視員は、警察職員と協議の上、現場保存区域を決定し、互いに協力してその保存に努めると共に、次の各号について留意しなければならない。

(1) 現場区域内の物件にみだりに手を触れ、又は原状を変更することのないようこれを防止すること。ただし、緊急やむを得ない事由があるときは、署長の指示を受けるものとする。

(2) 監視勤務中に発見し、又は聞知した事項、その他必要なことについては、漏れなく調査員を経て署長に報告すること。

(3) 火元家人、その他のものに対し、調査上支障をきたすような言動は厳に慎しむこと。

第4章 原因調査

(調査の原則)

第13条 調査員の現場観察は、先入観又は経験にとらわれることなく、科学的な方法と合理的な判断により、火災の実態把握に努め、出火点を求め、発火源を明らかにし、燃焼過程をたどり、原因を究明しなければならない。

(調査の方針)

第14条 調査は、物的調査と人的調査を併合して行い、原因の決定に当たつては、物的調査に主眼を置かなければならない。

(調査事項)

第15条 物的調査は、次に掲げる各号について詳細にこれを行わなければならない。

(1) 発火及び出火時刻の推定

(2) 気象状況

(3) 現場を中心とする付近の状況

(4) 出火前の建築物又は工作物及び内容物等の状況

(5) 燃焼の過程及び結果状況

(6) 発掘状況

(7) 発火及び出火点

(8) 発火源と出火までの過程

(9) その他の物的な事象

(写真撮影)

第16条 調査員は、火災現場において原因調査上必要あるものについて写真撮影を行わなければならない。

2 前項の写真は、火災現場写真集に貼付し必要な説明を加えておくものとする。

3 写真撮影の陰画は、陰画保存票に収めておかなければならない。

(質問の原則)

第17条 調査員は、質問を行うに当たつては、強制的手段を避け、その場所・時間等を考慮して被質問者の任意の供述を得るようにしなければならない。

(関係者の質問)

第18条 調査員は、調査のため関係ある者、又は被疑者について行つた質問のうち調査上必要と認められる事項は、質問調書により収録しなければならない。ただし、軽易なものについては、次条第3号及び第4号は省略することができる。

(調書の作成)

第19条 前条により調書を作成するときは、次の各号に留意して行わなければならない。

(1) 質問は、任意かつ自由な状態においてこれを行い、必要以上にわたることのないようにすること。

(2) 質問は、特に緊急の必要がある場合のほか、夜間にわたつて続行し、又は夜間の出頭を求めないこと。

(3) 調書の文字を削除したり、加えたりしたときは、その上部欄外に字数及び加除別を記載し認印すること。

(4) 調書は、供述者に読み聞かせ、又は閲覧させて誤りの有無をただした後、任意の署名押印を求め、署名できないときは、代筆したうえ押印させてその旨を記載しておくこと。

(少年又は婦女子に関する特例)

第20条 少年又は婦女子の関係する火災調査は、この規程によるほか、一般の例によつてこれを行うものとする。

2 少年又は婦女子の関係する調査は、少年の将来を考慮し、温情と理解をもつてこれに当たらなければならない。

3 少年は、実況見分の立合人としてはならない。

4 少年に対する質問は、必ず立合人をおいて行わなければならない。

5 調査書類には、少年の署名、押印を求めてはならない。

6 前各項の規定にかかわらず、調査を行うために必要があると認めるとき、又は年令・心情その他諸般の事情を考慮して、署長が支障がないと認めたときは、一般の例により行うことができる。

7 少年の関係する火災の情報を、新聞その他の報道機関から求められた場合は、その少年の氏名を告げ、又はその者を推知させるような方法を用いてはならない。

8 心神喪失、若しくは心神耗弱の状態にある者、ろうあ者の関係する火災の調査はこの規程を準用する。

(資料の提供)

第21条 火災現場及びその他情報を得た消防職員は、必要に応じて調査員に資料を提供し、原因の究明に協力しなければならない。

(資料の提出命令)

第22条 署長は、関係者に対し調査のため必要な資料を提出させようとするときは調査資料提出命令書によらなければならない。ただし、軽易なものについては、口頭によることができる。

2 前項により資料の提出があつたときは、資料提出書を徴し、提出者に対しては、資料保管書を交付しなければならない。ただし、所有権の放棄したものについてはこの限りでない。

(官公署に対する照会)

第23条 署長は、調査のため必要があると認めるときは、関係ある官公署に対して火災原因調査関係事項照会書により、通報を求めるものとする。ただし、軽易なものについては、口頭で求めることができる。

(鑑定依頼)

第24条 署長は、調査のため必要があると認めたときは、関係ある物件について、学識経験者・官公署等で、署長が適当と認める者に対し、鑑定依頼書により、鑑定を依頼するものとする。

第5章 調査資料の処理

(資料の保管)

第25条 第22条の規定により提出させた調査資料には、保管票を付し、保管台帳に記載してこれを保管しておかなければならない。

(鑑識処分承諾)

第26条 第22条の規定により提出させた調査資料のうち、鑑定のため原状を変更し、又は消滅するおそれがあると認められるときは、あらかじめ鑑識処分承諾書を徴しておかなければならない。

(保管品の返却)

第27条 第22条の規定により提出させた調査資料のうち、提出者において返却を要求した場合は、調査終了後すみやかに保管品還付受領書を徴して返却しなければならない。

第6章 損害調査

(調査の対象)

第28条 損害調査は、火災及び消火のために受けたすべての損害について行わなければならない。

(火災損害申告書の提出)

第29条 署長は、損害額決定のための資料として、関係者から火災損害申告書を提出させなければならない。ただし、軽易なものについては、記載内容の一部を省略することができる。

(損害額の算定)

第30条 損害額の算定は、火災損害申告書その他収集した確実な調査資料に基づき火災報告取扱要領(昭和43年11月11日消防総第393号消防庁長官通知)により決定し、火災損害調査書を作成するものとする。

第7章 書類の作成及び報告

(書類の作成)

第31条 調査した火災については、火災原因調査報告書・火災原因判定書・出火出場時における見分調書・実況見分調書・死傷者調査明細書その他関係書類を作成し報告するものとする。

(継続調査)

第32条 調査は、火災発生の日から15日以内に原因を究明することができないときは、引き続き調査を継続し、その概要を火災原因調査記録簿に記録しておくものとする。

(調査の終了)

第33条 署長は、原因不明の火災について、調査状況により、事後の継続調査を終了するよう命ずることができる。

(市町村長への通報)

第34条 署長は、火災報告書に火災報告取扱要領(昭和43年11月11日消防総第393号消防庁長官通知)第1、7項に基づく火災報告(第1号様式)の写しを添えて、り災地の市町村長等へ通報するものとする。

第8章 補則

(書類の様式)

第35条 この規程による関係書類の様式は別に定める。

(書類の保存)

第36条 署長は、第31条の規定により作成した書類を、1件の火災ごとに一括し保存しなければならない。

(抄本の送付)

第37条 署長は、官公署等から前条の書類について照会があつた場合は、その抄本を送付することができる。

(準用規程)

第38条 この規程は、必要に応じ火災以外の災害・事故等の調査に準用する。

この規程は、昭和60年5月1日から適用する。

(平成14年7月9日訓令第8号)

この訓令は、平成14年4月1日から施行する。

別表

岳北消防本部火災原因及び損害調査規程第4条に定める調査員の氏名、任務分担について

1 調査人員と任務

火災の程度によつて、次のように定める。

(任務分担)

小規模火災

(ぼや~半焼火災)

全焼火災

(多量に堆積物のある火災)

調査指揮者(実況見分者)

1名

1名

発掘者

2名

3名

写真撮影者

1名

1名

図面作成者

1名

2名

聞き込み者(発掘者兼務可)

2名

3名

ただし、ぼや火災においての調査人員は、状況に応じてこの限りでない。

2 飯山消防署、野沢分署及び栄分署における対応

原則として、警防係員が調査に当るものとする。ただし、警防係員だけでは人員の確保ができない場合は、他の係の消防職員が当るものとする。

岳北消防本部火災原因及び損害調査規程

昭和60年5月1日 訓令第1号

(平成14年4月1日施行)

体系情報
第4章 消防関係
沿革情報
昭和60年5月1日 訓令第1号
平成14年7月9日 訓令第8号