サラリーマン時代、給与収入と肩書があった。
退職前にこれを利用しようと、複数銀行のローンカードを作った。
別に、金が必要だったわけではない。いざという時の備え。使わなければ金利は発生しない。
たとえば、地震や火災で急にお金が必要になったとします。
年金暮らしの老人が「お金を貸してください」と窓口に行って、
あなたが銀行員だったら「はいどうぞ」と貸しますか?
収入はわずかな年金だけ、家は全壊しちゃった、農地はあるけど担保価値も買手もなし。
借りたい時は、貸す側からすれば貸したくない状況が多いんです。
それと、「何にお使いですか?職業は?年収は?他に借金は?家族は?担保は?」と聞かれます。
「なんで、あんたにそんなこと、答えなくちゃならねえんだ!」と言いたいですが言えません。
カウンターの向こうの若造に「年金収入だけで返済できるんですか?」なんて言われて
「なんとか、お願いします」と哀願するんです。やーですねー。だから、転ばぬ先のローンカード。

でも、落としたり盗まれたらどうすんの?
心配いりません。「手のひら静脈認証全自動貸金庫」で安全に保管します。
元勤務先の飯山支店にあります。安全性はわたくしが保証します、
私が作って、私が使ってるんですから間違いありません。
もしも、貸金庫カードが盗まれても、本人以外は金庫室には絶対に入れません。

ところで、カードで借りた後の返済はどうするのかって?
ふふふ、よくそこに気がつきましたね。そのために、複数のカードがあるんです。いいですか、
カードローンの返済日は、銀行ごとに違います。A銀行の返済日が来たら、B銀行のカードで返す。
Bの返済日が来たら、Cで返す。これを永遠に繰り返します。ほら、服部忍者水上歩きの術。
右足が沈む前に左足、左が沈む前に右。これぞ永久機関。必要なのは「ずく」だけ。
そんなことしてたって、いずれは返さなくちゃなんねえ、と思ったあなた。正直者です、えらい!
でも私は違います。ここから先を知りたかったら、一升ぶらさげて飲みにおいで。