いづれの
御時(おほんとき)にか、女御(にょうご)更衣(こうい)あまた(さぶら)ひたまひける中に、

いとやむごとなき
(きわ)にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。

                                       源氏物語・桐壷(原文)
 
 
 
どの(みかど)御代(みよ)であったか、女御・更衣 が 多勢 帝にお仕えなさった中に

たいそう位が高く勝れた身分ではない方で、時に逢って栄えなさるる方が あったのであるよ。

                                    同 (小湊訳本↓)
 
 
 


姉が飯山南高(当時女子校)に通ってた頃、自宅で一生懸命暗記してるのを聞いて

中学生のオレ ・・・ 門前の小僧そらんじて、55年後の今も呪文のように唱えられるが、

原文を通読したことは ・・・ 実は ・・・ 一度もない ・・・ ところが ・・・

元・国語教師のコミさん ・・・ 現職時代に、源氏物語全巻を文法に忠実に現代語に訳し

奥様が、それを全部読んだという ・・・ すばらしー ・・・ 国語教師の カガミ、そしてまた

奥様は ・・・ 夫の業績を評価する、最大の理解者 ・・・ ではないかーっ!



ワタクシは ・・・ 本業を全うすることこそ、職業人の本分である ・・・ と、思っとります。

本業差し置き、趣味や政治活動に精力つぎ込むヒトもいますが 

それってさー 敵前逃亡じゃねーの ・・・ 本業は、どーだったんよ? ・・・ と、追究したい

出世したか、否か ・・・ も ・・・ 勿論大切ではありますが、自分がやってきた仕事を

我が子や妻に 「形」 で見せたい、

例えば大工なら ・・・ あの家、とーちゃんが造ったんだ ・・・ と、言えるものがほしい



断捨離」 という言葉がもてはやされています。

その一方で ・・・ はたして、オレの形見 って、あるだろーか? ・・・ と、考えてみれば

「物質文明の愛用品」 は、沢山ありますが 「オリジナルの業績」 は? ・・・ むむむ!

いまからでも遅くない、残さねばならん ・・・ ノートの山 見つめて考えるのでありました。