長野県の信越放送(SBC)に、

小林万利子というアナウンサーがいる。

この人の声を聞くたびに、思い出すことがある。


 
ある日、SBCの営業担当 「てっちゃん」 から電話があった。
・・・ 20人ほど、礼服着た人を、集めていただけませんか ・・・
・・・ 飯山まで行くなら、いいよ ・・・ 行きます、行きます ・・・

電話で集まったのは、尾崎の30才代〜60才代のおっさんたち、約20名。
礼服着て、白いネクタイして、今夜、公会堂に集まってくれ、とだけ伝えてあった。
何だか分らんが、「て
ーしょ」(=あいつ→私)に頼まれたから、しょがねー、とやって来た。

勤務先の上司にも、別の役を頼んだが、断られた。
しょぼくれて帰ろうとすると、『わかった、分った、やるよ、やる。おめーにかかっちゃ、かなわん。』
と、一緒にSBCの車に乗って、長野市の勤務先から尾崎公会堂へと向かった。

・・・ 長野県、北信地方には 「北信流」 と呼ばれる、酒席のしきたりがある ・・・
SBCテレビで、その正統派 「松代流」 を紹介するため、いわゆる 「エキストラ」 が必要だったのだ。
実は、飯山市では、この北信流は行わないのだが、テレビ見てる人には分りっこないだろうと引き受けた。

勤務先上司には、「謡(うたい)」 を頼んだ。この人は、長野市在住だから 「北信流」 は慣れている。
出演料の代わりに 「しらふでは無理」 と、酒と豪華な折詰を、SBCに用意してもらった。
この時のアナウンサーが ・・・ 駆け出しで、初々しかった 「この方」 

・・・ 収録は、無事、終了した ・・・
急きょ集まってもらった人達は、思いがけずタダの宴会ができ、SBCの名入りタオルまで貰って喜んだ。
・・・ 「さかずき」 を受ける役で、撮影のために何度も飲まされ、途中でダウンした一人を除いては ・・・

二十数年前の、ニヤリとする、懐かしい思い出だ。