窓の板は何だ?って思った方に、お教えしましょう。これは『雪囲い』 です。農村部では、隣家との距離がけっこうあります。したがって、
最近は雪が降れば自然に落ちるような屋根に作ってあります。ところが、落ちた雪にはかなりスピードがありますから、反動で窓を突き
破って屋内に跳び込んでしまいます。それをガードするために、雪が降る前に板で『雪囲い』をしておくんです。これがありますと、窓ガ
ラスは割れませんから、1階の軒まで雪が積っても問題ありません。ところが、積もったり、屋根から落ちた雪が軒まで繋がってしまい
ますと、雪が解けて水分を含んで重くなった時に、地面までつながった全部の雪が軒を引っ張って、ついには軒をへし折ってしまうんです。
それを回避するために、軒を掘り出し、なおかつ屋内に明かりを入れるために窓を掘り出します。
これが手作業ですと、大変な重労働です。私が子供の頃、我が家の4棟の建物の雪おろしに、父母二人で三日かかりました。そして、
おろした雪から軒を掘り出すだけで、更に四日かかりました。スコップ・手作業で家を掘り出して、家の回りに高く高く積み上げたのです。
ですから『雪掘り』といいます。当時、窓を掘り出すところまではとても手が回らず、茅葺平屋の家の中は、冬じゅう夕方のようでした。
昔は、1シーズン5〜6回の雪おろしは当たり前でしたから、12月から3月末までの4か月間のうち、実に約半分は朝から晩まで雪との
格闘だったんですね。
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