ニュージーランドの大地震が連日報道されている。行方不明者のご家族、関係者の心労いかばかりかとお察しいたします。

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平成19年7月16日 月曜日だが海の日で休日。天気がよかった。
自宅玄関前で、芝生の草取りをしていた。午前10時を少し過ぎた頃、激しい横揺れがあった。
思わず家を見た。スローモーションのように、ゆっさ、ゆっさと大きく揺れていた。
あーっ、つぶれるーっ、と鎌を持ったまま立ちあがったものの、なすすべもなかった。
しばらくして、揺れがおさまった。幸い、家はつぶれなかった。
軽トラに飛び乗って外様平の真ん中まで走って、ぐるりと見回した。あれだけの揺れだ、倒壊した家が必ずあるだろうと思った。が、まったくいつものとおりだった。
変だなあ、と思って家に引き返した。

軽トラのキーを取る時に入口を開けたはずだ。その時は気が動転していて気付かなかったのか。
おやじの隠れ家のこの部屋、棚が倒れ道具が部屋中に散乱し、足の踏み場もなかった。母屋に行ってみた。1階の母の部屋、茶ダンスが倒れ、襖の桟が折れて外れていた。その奥、障子紙には全部、横にギザギザの裂け目が入った。違い棚が歪んで、壁にはすき間ができた。二階に上がる階段がずれた。二階の娘の部屋、8畳間の端から端までタンスがすっ飛んでいた。重いピアノが1mも動いた。幸い、家の中には誰もいなかった。けが人が出なくてよかった。被害状況
それにしても、さて、どうしたものか・・・

午後になった。十日町市に住む甥夫婦が駆け付けてくれた。看護師の嫁が言った。
「おじさん、茫然自失で、何もする気にならないでしょ。心配しなくていいのよ、私たちがやりますからね。おじさんは、そこに座っててください」なんて子だ。みんなお見通しだ。心のケアまでしてくれた。少し元気が出た。おっかけて、長野から姉夫婦も駆け付けた。義兄はジャッキを持って来た。鴨居を上げて、敷居との間につっかい棒を入れ、折れた襖の桟も修理して、はめた。姉は、おやじの隠れ家の大量の道具を片づけてくれた。友人・上司・同僚から多額のお見舞を頂いた。被災して、人の助けがいかに有難いか、身にしみて感じた。

しばらくして、この地震が中越沖地震と呼ばれていることを知った。このあたりの被害もわかってきた。どうも近隣では、我が家の被害が最も大きかったようだ。
なるほど、そうだったのか。やっぱりなー ・・・・・

弘化4年、今から164年前の3月(現在の5月)、午後8時過ぎ、善光寺平を震源とする直下型地震が襲った。マグニチュードは推定で7.4。折から、善光寺では7年に一度の御開帳が開かれ、諸国からの参詣者で大変な賑わいだった。このため死者は8000人を超えた。更に、山崩れが犀川をせき止めて巨大なダム湖になり、20日後にこれが決壊して大水害を起こした。地震は飯山にも大きな被害をもたらした。外様地区では住人の実に1割に当たる102名が死亡した。ほとんどが地震に伴う山崩れによって被災した。尾崎地区の家屋の倒壊は7棟、死者は1名。この唯一の死者が我家から出た。地震で家が全壊したのだ。

平成7年1月の阪神淡路大震災は、いまだ記憶に新しい。当時、被災した銀行に直接聞いたり、
金融業界誌の記事を調べて、業務上の対策マニュアルを作った。その過程で、自分自身の被災を想定して、日ごろから準備しておくべき必要性を痛感した。

その1  キャッシュカードと免許証は、常に身に付けて持ち歩くべし
すわっ、大地震、という時、まずは避難。他のことを考えて逃げ遅れたら元も子もないし、第一そんな余裕は絶対にない。地震のあと、身一つ助かったものの家屋倒壊、火災などで避難所生活になると、とたんに先立つもの(お金)に不自由する。また、避難所は大部屋だ。お見舞金を頂いても、現金を保管する金庫なんかない。唯一、キャッシュカードが金庫代りになる。また、証書なしで定期預金を払戻したり、借金をして当面の生活費にあてたり、そんな時、免許証は身分証明書として絶対必要だ。

その2  ローンカードを作っておくべし
口癖だからまたかと思われるだろう。金を借りたい時には貸してくれないのが銀行だ。その逆、借りる必要がない時にこそ、ローンカードを作っておくべきだ。このカードは、使わなければ金利が発生しない。年会費も必要ない。いざという時、すぐ現金が引き出せる。金を借りに行くと慇懃無礼な銀行員も、ローンカードを作りたいと言えば、ニコニコと応じてくれる。

その3  銀行の貸金庫を借りるべし
阪神淡路大震災のあと、貸金庫が隠れたブームになった。自宅が全壊しても、別の場所に金庫があれば安心だ。その逆に、銀行が倒壊しても金庫はびくともしないように作ってある。火災・水害でも大丈夫。何を入れるのか?貴重品はもちろん、預金証書・通帳や保険証券、ローンカードなどを入れておけば、当面の生活費にも困らない。元勤務先の飯山支店に最新鋭の手のひら静脈認証全自動貸金庫を作ったのはそのためだ。

その4  車庫や簡易倉庫など別棟にキャンプ用品、寝具などを保管しておくべし
避難所生活は大変だ。プライバシーがない。かといって、自宅が危険な状態では怖くて住めない。
こういう時、別棟やテントはプライバシーの面からも安心できるし、キャンプ用品や寝具があれば衣食住を確保できる。

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気のせいか、最近やけに大災害や政情不安が多いと思いませんか。
忘れないうちに、次から次へとやって来ています。
わたくしの場合、対策その1からその4まで既に完璧ではありますが、これが徒労に終わることを願わずにはおれません。