オラが新人サラリーマンだった頃

この地域の若者の一般的な暮らしは

朝、飯前仕事(めしめしょ〜と)・農作業


朝食後・出勤・サラリーマン ・・・ 夕方帰宅後・暗くなるまで農作業

休日 ・・・ 終日農作業

特に市役所と農協は、朝9時〜夕方5時勤務、農作業がイッパイできて お得

と、言われていた

つまり ・・・ サラリーマンは、世を忍ぶ仮の姿 ・・・ で、あって

家業の農業、こそが 「本業」

 


・・・ いつまで寝てんだ、××も ○○も、とっくに田んぼへ出てるぞ ・・・

新人サラリーマンの休日 ・・・ 父が怒鳴った ・・・ 無視した

翌週も、翌々週も

そのうち諦めた

 



ある時、母が言った

・・・ ▽×作業がとても大変だから手伝ってくれ ・・・

即座に答えた

・・・ サラリーマンに手伝わせなきゃできねえ農業なんか、やめっちまえ! ・・・

以来、手伝ってくれ、とは一言も言わなくなった

 


・・・ 嫁を遊ばせておくな! ・・・

長男を乳母車に載せ、子守してる姿を見て、親戚のオヤジが来て父に言った

父は、ニヤニヤしながら、ハイハイ、と答えた



オラにも嫁にも、何も言わなかった
  
 
 

真っ赤なワゴン車を購入

毎週末・お出掛け、後部座席はフラット、子供の遊び場にして

録画したテレビアニメのビデオ見せながら

富倉峠を越え、新潟県直江津市・国道8号線交差点

今週は右(新潟市方面)にしようか、左(富山市方面)にしようか

波打ち際に車を止め、ワゴン車の屋根からタープ張って

デイキャンプするのが、お決まりの週末行事だった

 



世の中には二足のわらじ履く有能な人がいる

銀行員しながら作曲家でも名を成した小椋佳

気象庁に勤めながら小説を書いた新田次郎

しかし

フツーの人は、一足のわらじさえ、ままならぬ

オラは ・・・ 農家の長男、しかし ・・・ 農作業ノータッチ

サラリーマン人生を謳歌、子育てに成功、後継者も得て、悠々自適