みやげに何が欲しいと聞いてみたら、笹餅が食べたいと言う。

思わず・・・
ばあさん、もしかして名前は『清』っていうんかい?・・・

というような会話はなかったが、東京でええとこの奥様をしてるいとこが言うので、久しぶりに作ってみようと思った。
 
ここ奥信濃では、田植えが終わると「田休み」といって、
1〜2日農作業を休んで温泉に行ったり、レクレーションの風習がある。この時、餅をついて笹の葉に包んだ「笹餅」を作り、女衆は自分の実家に届け、子供たちや亭主の兄弟にも送り届ける。ただ、最近は、餅そのものがごちそうではなくなったので、
ほとんど行われなくなっている。

「よし、作ってやろう」と、その気になったものの、問題は笹の葉だ。例年より雪融けがかなり遅れたために、まだ、笹の若葉が餅を包む充分な大きさになっていない。

中学生の頃、笹の葉採りに行かされた母の実家に聞くと、
「まだ小さくて団子しか包めないよー!」と言う。
確かに! 標高が高い所は無理だろう。
さて、どうしたものか?

で、ひらめいた・・・
そーだ、針湖池の南に笹が沢山あった。

※ 「何をみやげに買って来てやろう、何がほしい」と聞いてみたら「越後の笹飴が食べたい」と言った。越後の笹飴なんて聞いたこともない。第一方角が違う。
   「おれの行く田舎には笹飴はなさそうだ」と言って聞かしたら「そんなら、どっちの見当です」と聞き返した。(夏目漱石「坊っちゃん」より)