船体に傷が・・・!

先だって、ダム湖遊覧船乗り場の大量の泥を片づけたまではよかったんですが、
船体を損傷していました。
なにしろ普段より7m、右側の土手の上まで増水しました。

船の場合は、増水している最中は、まだいいんですが、水が引き始めると怖い。
東北の津波で、陸地に置き去りにされた巨大船の映像は目に新しいところですが、
あれは、津波だけではありません。
川の増水でも、同様のことが起こります。

たとえば・・・
平成7年7月、日本海にマイボートを持って3年目。梅雨明け前の集中豪雨で、ボートを係留していた保倉川が氾濫、直江津港周辺が水浸しになった。
早暁、地元の人から電話があった。「あんたの船、川岸の鉄パイプの上に載っかってるから、水が引き始めると転覆するよ。」
「やばいっ!」 時刻は午前6時前。3分考えて、決断した。まず、高校生の、それもこの4月に入学したばかりの長男を起こした。

「今日は学校へ行かんでいい。父ちゃんに付き合え。」そう言うと、軽トラに梯子とゴムボートを積み込んで、出発準備をした。
次は勤務先。弱った。今日は、昨日に引き続いての出張。支店指導の予定になっている。上司の顔が目に浮かんだ。
あの上司、わかってくれるだろう。ままよっ!と、軽トラに飛び乗った。

1時間後、現地到着。息をのんだ。町が水びたし。船を係留してある区画入口は通行止め、消防が立っている。
こんな状況で、「船が・・」と言っても、通してくれないだろう。 「ん、いわゆる消防団員だな」 よし、それならっ!
そのまま軽トラを走らせると 「どけどけっ、緊急だっ!」 ・・軽トラの荷台には、梯子が積んである。結構、説得力がある。
消防団員は、「どうぞ」と道を開けた。「よっしゃーっ!」 運転席ぎりぎりまで水がある道路を、注意しながら進んで船のそばに到着した。

船は・・・電話のとおり、ごうごうと流れる濁流の上、鉄パイプの上を行ったり来たりしているが、まだ無事だ。
よし、水が引くまで、梯子(長さ10m)で沖へ押し出していよう。
時に、午前7時。さあ、勤務先にどう、言いつくろうか。長年世話になった上司には、本当のことを言おう。腹は決まった。

電話口で上司が言った。「あんたが消防団員だってことは、知らない者はいない。うまく、やっとくから心配するな。」
ありがたい。後で聞けば、「服部は増水で・・・」と言ったら、出張先の支店長が「ああ、服部君は消防だから、大変だねえ」ということで、
みなまで言わずに済んでしまったと聞いた。ありがとうございます。

結局、現地到着から約10時間、長男と二人で、川岸から梯子で船を川の中央へ押し続けた。昼食もなし。
夕方、水が引き始めた。船は助かった。もうだいじょうぶ、と家路についたものの、富倉峠を越える道路は橋が流され不通になっていた。
あちこち迂回して、自宅に帰りついたのは深夜。やれやれ・・・ 洪水は大変じゃーっ!

というわけで・・・
ダム湖遊覧船、このあと服部船大工が修理をいたします。
あの・・・修理費を捻出するために、復旧後、皆様方のあたたかい「
義援乗船」、よろしくお願い申し上げます!