スチュワーデスと野沢菜
「黒い滑走路」がスチュワーデスを連れてきた。
みんなで飲んでいると、野沢菜の漬物がなくなった。
深夜。母親はとっくに寝てしまった。顔を見合わせた。そのとき
『私が出します』とスチュワーデスのお姉さんが言った。
『だって、漬物桶の中は凍ってるよー』というと、
彼女は平気で、凍った桶に手を入れて野沢菜を取り出した。みんな目を丸くした。
さすが、スチュワーデス。凍ってるくらいじゃ、動じねー。

それからしばらくして、北海道へスキーに行った。
飛行機から降りようとタラップに足をかけると、
後ろから大きな声で『はっとりさん』と呼ばれた。
びっくりした。私ばかりか、降りかかった乗客全員が振り返った。
野沢菜のスチュワーデスが笑顔で手を振っていた。