長野県建設業厚生年金基金の事務長が22億円を使い込んだらしい。
で、基金に加入、給料から天引きされてた人達はどうなるの?ちゃんと年金をもらえるんかなー?

「浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ」と詠んだのは、ご存じ石川の五右衛門。
そうです、人を見たら泥棒と思え、は行き過ぎですが、金を扱わせる人は、信頼しても信用してはいけません。「つい、出来心で・・」と犯人は言いますが、そんなことはあり得ません。そうなるまでには、何回も罪を犯しています。何回もやって良心の呵責に平気で耐えられるようになってるから、思わず盗んでしまえるんです。あれっと思って手を見たら、また盗んでた、って感じですね。

使い込みをしていれば、必ずその兆候が出ます。周囲の人は、なんかおかしいと感じているはずです。最近、金遣いが派手になった。高額なものをポンポン買う。高い店によく飲みに行く。仕事に身が入らない。書類を他の人に触らせない。などなど、事が露見すると、後で「そういえば・・・」と思い当たる節がたくさん出て来ます。「火のないところに煙は立たぬ」そのとおり。しっかし、ことわざってのは、鋭いところをついてますなあ。おとーさん、あんたの浮気だって、おかーちゃんはきっと勘づいてまっせ!ご用心ご用心。

実は、使い込みの額と組織でのポストは正比例します。つまり、偉い人が使い込めば高額になるということ。部下が上司をチェックしたり事務のやり方を批判することなんか、できるわけがねえ。  だから、部下は「おかしい」と思っても知らんふり。あ、だからって部下を責めちゃいけません。
誰だって、いじめられたくないし、首にされたくもない。生活がかかってるんですから。
と、ゆーことは、偉い人にやられたらどーしようもないってこと?
そうです。したがって使い込みは長期にわたり、額もだんだんエスカレート。高額になります。

こういうカネの使い道、この事務長のように不思議と遊興費になってしまいます。「悪銭身に付かず」って言いますが本当です。っていうか、家を新築したり、車を買ったりと庶民が思いつくカネの使い道で使える額は知れている。1億円をどう使うか考えてみてください。なかなか思いつかないものです。したがって、事が露見していざ弁償というときには換金できるものはごくわずか。サッカー選手との交友関係を金にかえることなんかできないもんねー。当の本人は、自己破滅を意識してたと思いますよ。「こうなりゃ、どーなったっていいや」わずかな年金を楽しみにしてた多くの人々のことなんか、これっぽちも考えてないでしょう。「そりゃ、ねーだろーっ!」と言ってみても遅い。

使い込み犯罪者の心理。(その1)寝ても起きても、見つかった時の言い訳を考えている。したがって、へんだなと思ってちょっと問いただしても、簡単に言い返される。専門用語をポンポン使われて、それ以上聞けなくなってしまう。あまりにすらすら答えられたら要注意。それだけ、言い訳が推敲されているということ。だいたい、言い訳が上手ってことは、仕事する精力を言い訳に使ってるんだから、ろくなもんじゃねえ。(その2)使い込みの額が増えてくると、一発で埋め合わせしようと相場に手を出したり、馬券を買ったりと賭けごとに手を出して、徐々にエスカレートする。このおじさんもカジノでデカク使ってんじゃないの。(その3)仕事に身が入らなくなる。反対に、休暇をまったくとらない。夜間、休日など一人で仕事することが多い。携帯電話が頻繁にかかってくる、そのためによく席を立つ。家族や子供の話をしない、聞くと不機嫌になる。

こういう事件をなくすためにはどうすればいいんでしょうか。
はっきりいって、なくなりませんね。ただ、発生件数や被害金額を少なくすることは可能です。一番簡単な方法、それは金を扱う人に嫌われることです。誰でも、口うるさい人やこまかく調べる人は嫌いです。ですから、そうすると嫌われます。できれば、人には嫌われたくないですよねえ。そこで、つい、追及の手も緩みがちになってしまうんです。それがいけません。人を使うことと、人に好かれることとは両立しないんです。カネの面ではいやな上司や、経営者であることが絶対に必要です。でも、それでは、部下や社員がついてこない。悩ましいですねえ。だから言ったでしょ。
「部下は信頼してやらなければならない、しかし信用しきってはいけない。」