寺の街いいやま  取り壊される前の飯山駅舎は寺院風

ある冬の日、帰りの列車の様子がおかしい。遅れて飯山駅に到着。
「この列車は、故障のため、運転を打ち切ります」 という。終着の戸狩駅まで、あと10分ほど。
飯山駅に怒鳴り込んだ。

・・・ なにをしとるかっ、管理局長のフジタ君に電話をつなげ! ・・・
 
机に腰掛けて足を組み、労組事務局と電話していた運転手が、あわてて立ち上がった。
・・・ すぐ出します ・・・ 何事もなかったように、列車は動きだした。
いきさつは、こうだ。

当時、国鉄は民営化を目前に控え、労働運動熱心な職員は継続採用されない、と噂されていた。
そんな頃、長野鉄道管理局長フジタ氏と名刺交換していたのだった。
局長を 「君」 づけで呼ぶこの男、タダものではあるまいと運転手は、慌てたのだろう。

単なるハッタリ! ・・・ しかも、勘違いしたのは、そっちだ。

おろおろしながら、一部始終を見ていた飯山駅職員がいた。
民営化と同時に、民間金融機関に採用され、奇しくも、私の部下になった。

・・・ 新しい勤務先に行ったら、あなたがいらっしゃるじゃありませんか

    ひえー、鬼の部下になっちまった! と、肝をつぶしました ・・・