おねいちゃんとおかあさんが、山菜を採ってきてくれました。
タラの芽、コシアブラ、山うどなど、爺ちゃんの大好物。・・・ とても楽しかったそうです。
爺ちゃんは、食べるだけ。 ・・・ 山菜採りにいかなくなったのには、わけがあります。


・・・ よちよち歩きの ・・・

君のおとうさんを連れて、晩酌の友に山うどを少しばかりと、採りに行きました。
黒岩山の裏側、山道を手をつないで歩いていると、5mほど崖下に山うどがありました。

・・・ ここに、じっとしてろよ ・・・ 

そう言って、爺ちゃんは灌木につかまりながら崖を降り、
持って来た鎌で、山うどを掘りました。

・・・ そこへ ・・・

子供だった君のおとうさんが、爺ちゃんの目の前に、転がり落ちて来ました。
とっさにキャッチ。 

・・・ ふーいっ!・・・

崖は、そこから30m下まで続いてました。何事もなかったように家に帰って、山うどを食べました。
その日の山うどは、とりわけ苦く感じられました。そして、爺ちゃんは山菜採りに行かなくなりました。

・・・ それっきり、それっきり! ・・・