いいやま湯滝温泉
『もしもーし! 元気? あのさー、湯滝温泉掘ったの あんたの とーちゃんだったよね?』
『そーだよー!』

 
これが、千曲川の難所「湯滝」だ。落差5m程のゆるやかな滝。(湯滝橋から)

昔、この左岸(下流に向かって左側)にお湯がわき出ていて、旅人が旅の疲れをいやしたという。
この河川敷を昭和40年代に掘削して温泉を掘り当てたのが、高校の同級生のお父さん。

河原に作られた風呂は、ビニールハウスの中にゴムの湯船。無料で開放されていた。
私、時に20代、独身。何度も訪れた。湯船が深くて、男湯と女湯の仕切りの下を潜って行き来した。
(残念ながら、女性の姿は、老若ともまったく見かけませんでした。ははは)

お湯は炭酸泉で、入ると身体に気泡がびっしりついた。温度は体温よりちょっと高いくらい。
気温が低いと、寒くてお湯から出られない。なのに、湯から上がると、ポッポとほてった。
その後、飯山市が権利を買い取って温泉施設を建設、湯温を高くして、今日に至っている。

この話を思い出して、彼女に電話して、再確認したしだい。
『で、とーちゃん、死んじゃったの?』
  『生きてるよー!96才だよー。』

うーむ!
ロマンを追って、昔の言い伝えを現代によみがえらせた男は、運が強くて寿命も長い!