夜な夜な、お墓に通い ・・・ ニホンミツバチの新住居を30㎝ずつ移動 ・・・ と、一陣の風が吹いて

・・・ なんやら墓石の下から ・・・ はなしを聞いてくれ ・・・ 話を聞いてくれ ・・・ と呼ぶ声が ・・・ 

しかたないから ・・・ 墓石に耳を近づけると ・・・



むか~し ・・・ 鳥取県の黒坂という村に ・・・ 小さな麻取り場があったそうだ ・・・

ある冬の夜、女たちがいろりを囲んで怪談話に興じていたが
話に興が乗って、キモ試しをしようということになり、幽霊滝から賽銭箱を持ってくることになった。
ところが、誰も尻込みして、行く者がない。

そこで賽銭箱を持ってきた者に、今日取れた麻をみんなやる、ということになった。
するとお勝という女が名乗り出た。お勝は赤児を半纏にくるんでおぶり、幽霊滝へと向かった。

晴れた夜空の下、山道を歩いて幽霊滝までやってくると、真っ暗な中に、かすかに賽銭箱が見えた。
お勝が賽銭箱に手を伸ばすと 「おかつっ!」 と、大きな声が、滝つぼから響いた。

お勝は恐怖に立ちすくみながらも賽銭箱を取ると、
またしても 「お勝っ!」 と、もっと強く、咎めるような声が響いた。

お勝は、後も見ずに走り、暗い道を駆けに駆け、麻取り場まで戻ると、賽銭箱を女たちに得意げに見せ、
そして ・・・ 幽霊滝での、奇怪な声の話をした ・・・ お勝の勇気をたたえる声がわき上がった。

ほっとしたお勝が赤児に乳をやろうと半纏を解くと、中から血まみれの赤児の体が転がり出た。

・・・ 赤児には ・・・ 首がなかった。



どうです ・・・ 少しは涼しくなりました? ・・・ 以上 「幽霊滝の伝説」(小泉八雲) を若干脚色