笑えない本当の話

ある日、ばあさんが桃の木を見て、言いました。
「おやまあ、おいしそうに熟したねえ。そろそろ収穫しましょうか。」
しばらくして、ばあさんがかごを持って畑に来ると、木の下に桃の食べかすが散らばってて、
青い実だけが、残っていました。
「おやおや、じいさんが食べたんかねえ。」

二、三日して、ばあさんが桃の木を見ると、また赤く熟していました。
「おじいさん、今度は、孫にあげるんだからね。」
「えー、わしゃあ、桃なんか、食わんぞー!」
二人して桃の木に行ってみると、サルが走り去って、食べかすが散らばってましたとさ。



桃は猿に横取りされ、ジャガイモ・竹の子は猪が食っちまう。
治安の良さ世界有数といわれる日本で、これが田舎の日常茶飯事なのだ。
こんな無法が、許されていいのか?

日本では、人間の犯罪者は、行政機関たる警察が捕まえますが、動物の犯罪獣(?)は、
民間人の猟友会員が捕まえる。更に、基本的人権対象外の犯罪獣に対しても、「仕返し」を
してはいけない。被害者の人間様は、泣き寝入りするだけ。実に、不思議な国で、あります。

そうそう、うちの老婆が、こんなことを言っとります。

「とーちゃんが、撃ってくれるから、ことしゃあ、カラスがさっぱり寄りつかんで、えーぞー!」