ある日、金崎さんちの電話が鳴った。 (プルルルル〜、プルルルル〜) 「はい、金崎です。」 「○○と申しますが、和昭さんですか?」 「はい。何のごようでしょう?」 「実は、このたび、皇室の献穀米に、お宅のお米が選ばれました。」 「ええっ!?」 「つきましては、くわしいことはまた案内を送りますので、そのつもりでいてください。」 「は、はい…。」 (プチッ) 数日後、金崎さんちのポストに一通の封筒が届いていた。 「これはもしや…?」 その日の夕食後。 「さぁ!みんなで読んでみるか。」 やや震える手でじじちゃんは封筒を開けた。 そこには、こう書かれていた。 [あなたは、平成13年新嘗祭献穀献納式に出席することが決まりました。 絹袋に入れた一升の米、また、例年の参加者の服装は、次のとおりです] 「なになに?」 [女性 色留袖、男性 モーニング…] 「ええっ!?そんなんもってねえど〜!」 それからが、大変だった。色留袖は、親戚から借りることとなったが、問題はじじちゃんのモーニング。 「だれかもっでねぇがな?」 「卒業式とかで、よく校長先生が着てない?」 「じゃ、きいてみっか。」 しかし、サイズが合うとは限らない。 探して探してやっとの思いでみつけたのは、なんと、出発の2日前のことだった。 「ああ、まにあった。」 其の弐へ続く |
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